登記簿の翻訳とスーツケース

登記簿の翻訳に係るお役立ち情報をお伝えしています。

海外提出のための認証(公証・認証・アポスティーユ)

海外の銀行・取引先・当局に日本の書類(登記簿謄本など)を提出するとき、よく止まるのが「認証って何を取ればいいの?」問題です。結論から言うと、提出先が求めている形式に合わせるのが唯一の正解で、順番を間違えると二度手間になりやすい領域です。この記事では、登記簿謄本(登記事項証明書)を中心に、公証・認証・アポスティーユの考え方を実務目線で整理します。

まず確認すべきこと(提出先要件)

最初にやるべきは、手続きを走り出すことではなく「提出先要件の確認」です。外務省も「求められている場合のみ申請する」趣旨を明確にしています。

提出先に確認するチェック項目

  • 提出先国はハーグ条約(アポスティーユ)対象国か?
  • 必要なのはアポスティーユか、公印確認+領事認証か?
  • 書類は原本が必要か?コピー可か?
  • 発行日(例:3か月以内)の条件はあるか?
  • 翻訳(英訳)は必要か?翻訳にも認証が必要か?
  • 必要部数(複数部数が必要なことも)
📌 ポイント:ここが固まると、手戻りの9割が消えます

アポスティーユとは

アポスティーユは、1961年のハーグ条約(認証不要条約)に基づく証明で、締約国に提出する場合に利用できる仕組みです。外務省のアポスティーユが付くと、原則として駐日大使館・総領事館での領事認証と同等として扱われます。

✅ アポスティーユのメリット

  • 領事認証が不要(手続きが簡略化)
  • 外務省で取得可能(手数料無料)
  • 締約国間で公文書として通用

⚠ 重要な注意点

  • 締約国宛てでも、提出先の運用で領事認証が必要になり、公印確認を求められる場合がある(外務省が明記)
  • つまり「締約国=必ずアポスティーユでOK」と決め打ちしないこと

公印確認とは

公印確認は、駐日外国大使館・総領事館で行う領事認証を受ける前提として必要になる外務省の証明です。

公印確認の流れ

公文書を用意
外務省で公印確認
駐日大使館で領事認証
提出
⚠ 注意:外務省は「公印確認を受けた後は必ず領事認証を取得して提出する」旨を強く注意しています。公印確認だけでは提出できません。
💡 もう一つの注意点:提出先が「外務省ではなく、現地の日本大使館・総領事館の証明」を求める場合があります。外務省で公印確認を受けた書類は、現地公館で重ねて証明できません(手続きの選択を間違えると詰みます)。

公証役場で必要になるケース

登記簿謄本のような官公署が発行する公文書は、基本的に外務省の証明対象に入り得ます。一方で、海外提出の実務では、登記簿以外に次のような私文書がセットで必要になりがちです。

📄
委任状
Power of Attorney
宣誓書/宣言書
Affidavit / Declaration
📋
契約書、議事録
など

こうした私文書は、外務省が直接証明できないため、原則として次の流れが必要になります。

私文書の認証フロー

公証役場で
公証人の認証
法務局長の
公証人押印証明
外務省の証明
📌 ワンストップサービス:公証役場によっては、公証人認証・法務局・外務省まで一括で取得できる”ワンストップ”を案内している例もあります。

よくある勘違い

この分野で一番多いミスは、要件確認をせずに「念のため全部やっておこう」と走ることです。

❌ 勘違い1:とりあえずアポスティーユを取ればOK

→ 締約国でも領事認証が必要になる運用があり得ます(外務省が明記)。提出先(または駐日大使館)に確認が先です。

❌ 勘違い2:公印確認だけ取って提出できる

→ 外務省は「公印確認は領事認証が必要となる証明」であり、領事認証を受けて提出するよう注意しています。

❌ 勘違い3:コピーでも認証してもらえる

→ 外務省の証明対象は条件があり、コピーは不可の注意があります。

❌ 勘違い4:古い書類でもとりあえず認証だけ取れる

→ 外務省の案内では、証明できる書類の要件として「発行日から3か月以内」等が示されています。

提出先別に起きる追加要求

提出先(国・機関・審査担当)によって、次のような追加要求が“後出し”で来ることがあります。事前に構えておくと強いです。

追加要求 内容・注意点
発行日要件 例:3か月以内
原本指定 コピー不可
部数追加 原本を複数求められる
翻訳の添付 英訳必須
翻訳にも認証 翻訳者の署名証明/宣言書の公証など
形式指定 ホチキス外し不可・加筆不可等

まとめ:迷ったときの判断フロー

判断フロー
Step 1:提出先要件を確認
(アポスティーユ or 公印確認+領事認証、原本、発行日、翻訳の要否)
Step 2:公文書か、私文書かで手順が変わる
(登記簿など=公文書 / 委任状など=私文書)
Step 3:“とりあえず全部”は避ける
(手戻りになりやすい)

よくある質問(FAQ)

Q. アポスティーユと公印確認の違いは何ですか?

A. アポスティーユは”条約締約国向け”の証明で、公印確認は”領事認証を受ける前提”の外務省証明です。提出先が締約国かどうかだけでなく、提出先の運用で「領事認証が必要」と言われることもあるため、要件確認が最優先です。

Q. 締約国に出すなら、必ずアポスティーユでOKですか?

A. 必ずではありません。締約国でも提出先が領事認証を求める場合があり、その場合は公印確認が必要になります。外務省もこの点を注意事項として明記しています。

Q. 公印確認だけ取って提出できますか?

A. 原則としてできません。公印確認の後に、提出先国の大使館・総領事館で領事認証を受けて提出する必要があります。外務省は「公印確認後は必ず領事認証を取得して提出する」旨を注意しています。

Q. 登記簿謄本は、公証役場で公証が必要ですか?

A. 登記簿謄本のような公文書は、基本的に”外務省の証明”の対象になり得ます(条件あり)。一方で、委任状や宣誓書などの私文書が必要な場合は、公証役場での手続きが関わることが一般的です。

Q. どんな書類だと「公証役場」が必要になりますか?

A. 委任状・宣誓書・契約書などの“私文書”で、提出先が認証付き提出を求める場合です。外務省の案内でも、私文書は公証人の認証など所定の手続きを経たうえで証明申請する流れが示されています。

Q. 外務省の証明は、コピーでも受けられますか?

A. 条件があり、コピー不可の注意があります。外務省の案内では、証明対象となる書類の要件や注意事項(コピー不可等)が示されています。

Q. 発行日が古い登記簿でも、アポスティーユ/公印確認は取れますか?

A. 取れない(または受理されない)可能性があります。外務省の案内では、証明対象となる公文書の条件として「発行日から3か月以内」等が示されています。

Q. 翻訳(英訳)にも認証が必要ですか?

A. 提出先次第で、必要な場合と不要な場合があります。提出先が求めるのが「翻訳証明(Certificate of Translation)」なのか、「翻訳者の署名証明(公証)」までなのかで手続きが変わります。まず提出先に”どの粒度の証明が必要か”を確認するのが安全です。

関連記事

メニュー
 
海外提出のための認証(公証・認証・アポスティーユ)
 
国別・用途別:必要書類ガイド
 
取得完全ガイド(オンライン/窓口/郵送)
 
登記簿謄本の英訳 完全ガイド
 
登記簿謄本(登記事項証明書)とは
 
登記簿謄本の読み方(項目別)
 

登記簿×英訳 用語集(辞書)
 
 

翻訳の専門タイナーズの登記簿謄本専門サイトです。
登記簿謄本(履歴事項全部証明書など)の英語版について、お役立ち情報をお伝えしています。
公証役場に行かれるまでの確認などにご利用いただくと円滑です。

運営責任者 西山