2025/10/17
登記簿謄本に必ず載っているのは住所。会社の所在地と役員の住所ですね。
この「郡(ぐん)」を英語でどう表記すればいいのか、けっこう考慮が必要です。たとえばcountyやdistrictなどは、どちらも郡の意味がありますが、実は意味も役割もだいぶ違います。
郡とは何か
もともと郡は、古代の律令制における地方行政区分でした。
「国(くに)」の下に置かれて、郡司が治め、戸籍や税の単位にもなっていたのです。
ところが大正時代(1921年)の郡制廃止や戦後の地方自治法によって、郡役所は廃止され、現在の郡にはほとんど行政機能がありません。
今では「住所の一部」として残っているだけ、というのが現状です。
county? district?
英語で近そうな言葉といえば、countyやdistrict。
しかしこれらは英語圏では今でも行政単位として機能しています。
* county:たとえばアメリカでは自治体として存在。裁判所や警察もある。
* district:行政区画にも使われるが、商業地区や選挙区など広い意味を持つ。
つまり「郡」を *county* や *district* と訳してしまうと、
「まだ行政権限を持っている場所」と誤解される可能性があるわけです。
結論:「Gun」でいい
そこで一番無難なのが、ローマ字でそのまま “Gun” と表記する方法です。
例:
* 栃木県下都賀郡壬生町 → *Mibu-machi, Shimotsuga-gun, Tochigi*
* 埼玉県北足立郡伊奈町 → *Ina-machi, Kitaadachi-gun, Saitama*
このようにすれば、地名として正確さを保てるし、余計な誤解を招きません。
(実際のところ、登記簿謄本の英語版を渡航先国に提出する際、向こうで、この英語表現の違いで問題になることはまずはないと思いますが)
まとめ
- 日本の郡は、今では行政機能を持たない「住所上の区分」
- county や district は現役の行政単位なので混同に注意
- 英語表記では “Gun” を使うのが最も無難