2025/12/05
下記で「就任」についてお伝えしています。
就任(Assumption of Office)
https://www.toukibo-honyaku.com/assumption-of-office/
ここで、就任と選任の話が出ていますが、ちょっとややこしいので整理します。
― 選任との違い ―
会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書など)には、取締役や監査役といった役員に関する事項として「就任」という用語が記載されます。この「就任」は、会社法上および登記実務上、重要な意味を持つ概念であり、「選任」とは明確に区別されます。本稿では、両者の違いを中心に解説します。
1.「選任」とは何か
選任とは、株主総会や取締役会などの会社の意思決定機関において、特定の者を役員等として選び決定する行為を指します。
例:
株主総会でA氏を取締役に選ぶ
取締役会でB氏を代表取締役に選ぶ
選任はあくまで会社側の意思表示であり、この時点では、選ばれた本人が必ずしも役員に就いたとは限りません。
2.「就任」とは何か
就任とは、選任された者がその地位に就くことを承諾し、実際に役員としての地位を取得することをいいます。
就任の成立には、通常、以下が必要です
選任の決議
本人の承諾(明示または黙示)
この「就任」によって、初めて法律上の役員としての地位・権限・責任が発生します。
3.登記簿謄本に記載されるのは「就任」
登記簿謄本に記載されるのは、選任日ではなく「就任日」です。
これは、商業登記が「法律関係が確定した事実」を公示する制度であるためです。
たとえば
株主総会での選任日:4月1日
本人が承諾した日:4月5日
この場合、登記簿には4月5日就任と記載されます。
4.選任と就任の違いを整理すると
| 項目 | 選任 | 就任 |
|---|---|---|
| 意味 | 役員として選ぶ行為 | 役員の地位に就くこと |
| 主体 | 会社(株主総会等) | 選ばれた本人(承諾) |
| 法的効果 | まだ役員ではない(地位は確定しない) | 役員としての地位・権限・責任が発生 |
| 登記簿への記載 | 原則としてされない | 記載される(就任日) |
5.実務上の注意点
実務では、「選任=就任」と混同されがちですが、両者の区別は重要です。
就任承諾前に辞退すれば、役員にはならない
就任日を誤ると、登記の内容が実態とずれる
就任日を基準に任期や責任期間が計算される
そのため、就任承諾書や議事録の日付の整合性には注意が必要です。