登記簿の翻訳とスーツケース

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登記簿謄本の英訳 完全ガイド

登記簿謄本(登記事項証明書)の英訳は、「日本語を英語に置き換える」だけでは通りません。海外の銀行・取引先・当局が見るのは、内容の正確さだけでなく、表記の一貫性や読みやすさ、そして「この翻訳は信頼できる」と判断できる体裁です。このページでは、英訳が必要になる場面から、品質の見られ方、つまずきやすいポイント、納品形態や翻訳証明まで、実務目線で整理します。

英訳が必要になる典型シーン

登記簿英訳が求められるのは、だいたい次のようなケースです(”会社の身元確認”が目的になりがちです)。

  • 🏦海外銀行口座の開設・維持(KYC/コンプライアンス)
  • 📝海外取引先との契約・審査(ベンダー登録、与信、取引開始)
  • 🏢海外子会社・支店・駐在員事務所の設立関連
  • 💻海外プラットフォームのアカウント審査(決済/広告/EC等)
  • 📄海外のライセンス申請・登録
  • 💼投資・M&A・デューデリジェンス(会社の基本情報確認)
📌 ポイント:提出先が欲しいのは「英語として自然な文章」よりも、“登記内容を第三者が誤解なく確認できる英語”です。

翻訳品質で見られるポイント

英訳の出来は、提出先から見ると次の観点でチェックされやすいです。

⚠ 表記統一

いちばん差し戻しにつながりやすい

  • 同じ語が別の英語になっていないか
  • 会社名・住所・人名が他書類と整合しているか
  • 数字・日付形式がブレていないか

💡 注記

どこまで”説明”するか

  • 日本固有の制度・表現には注記が有効
  • 増やしすぎると「原文にない情報」と見られることも

📐 レイアウト

読みやすさ=信頼性

  • 原文の構造(項目立て)を維持
  • “どこが現在の情報か”が一目で分かるか

英訳の基本ルール(固有名詞/住所/役職)

ここからは、現場で事故が起きやすい「三大ポイント」です。

固有名詞(会社名・人名)

  • 原則は、登記上の表記をベースにしつつ、提出先が期待する表記と整合させます
  • 会社名に公式英語表記がある場合は、それに寄せる(Webサイトや契約書に合わせる運用も多い)
  • 人名はパスポート表記に寄せたい場面もあるため、提出書類全体の整合が重要です

住所(日本住所の英文化)

日本住所は、順序・表記ルールの違いでブレが出やすい領域です。重要なのは「読みやすい英語」よりも、同一住所として一意に特定できる表記です。

  • 丁目・番地・号の扱い
  • ハイフン、カンマ、ビル名、階数の位置
  • ローマ字表記の揺れ(Shinjuku-ku / Shinjuku Ward など)

役職(代表取締役等)

役職は”単語の置き換え”が難しいため、提出先の一般的理解に合わせます。

日本語 英訳(一般的) 備考
代表取締役 Representative Director 最もよく使われる
取締役 Director
監査役 Auditor 文脈により補足が必要なことも
💡 注意:肩書が海外の役職(CEO/CFO等)と一致しない場合があるため、「登記上の役職」として訳すのが基本です。

抹消事項(下線)・履歴の扱い

登記簿英訳でつまずきやすいのが、下線(抹消事項)や変更履歴の扱いです。

⚠ 下線(抹消事項)の考え方

  • 下線は一般に「過去に有効だったが、現在は抹消された事項」を示します
  • 提出先が履歴を見たがっている場合、抹消事項を落とすと「情報が欠けている」と判断されることがあります

実務での基本方針

  • 原則:原文の構造を保ち、抹消事項も分かる形で訳す
  • ただし「現在事項のみ」で十分な提出先なら、履歴を必要以上に目立たせない編集も有効
  • 重要:“現在の情報”と”過去の情報”が混ざって見えないこと
    → ここにレイアウトと注記の技術が出ます

失敗例(通らない原因)→回避策

「ちゃんと訳したのに通らない」は、原因が”翻訳ミス”ではなく”運用ミス”であることも多いです。

❌ 失敗例1:表記がバラバラ(住所・会社名・役職)

原因:同じ情報が、別ページ・別書類で違う表記になっている

✓ 回避策:最初に「表記ルール(スタイルガイド)」を決め、全体で統一する

❌ 失敗例2:原文の構造が崩れて読みづらい

原因:訳文が文章化されすぎて、どこが何の項目か分からない

✓ 回避策:見出し・区分・箇条書きで、原文の”証明書っぽさ”を維持する

❌ 失敗例3:履歴・抹消の扱いで誤解される

原因:下線部分が訳文で区別されず、現在の情報と混在して見える

✓ 回避策:抹消事項が分かる表示、注記、履歴の整理(「現在→履歴」の順)を徹底

❌ 失敗例4:提出先の要求(形式・証明)を確認していない

原因:英訳はOKでも「翻訳証明が必要」「原本指定」「発行日指定」等の要件違い

✓ 回避策:提出前にチェックリスト化して確認(不明なら提出先に質問)

納品形式(PDF/Word)・翻訳証明の考え方

最後に、提出実務でよく聞かれる「納品の形」についてです。

納品形式:PDFとWordの使い分け

📄 PDF

  • 体裁が崩れない
  • 提出向き
  • 社内共有しやすい

📝 Word

  • 提出先の指定で修正が必要なとき便利
  • 社内で追記が必要な場合に有利
📌 おすすめ:提出先が指定していないなら、「PDF+(必要に応じてWord)」の2段構えが安心です。

翻訳証明(Certificate of Translation)の考え方

  • 提出先によっては「翻訳が正確であることの証明」を求められることがあります
  • 一方で、不要な提出先も多いので、“必要な場合だけ用意する”が基本
  • 重要なのは、提出先が求めているのが
    ・翻訳者の署名・連絡先なのか
    ・会社としての証明なのか
    ・公証等まで必要なのか

    という粒度の確認です

よくある質問(FAQ)

Q. 登記簿謄本の英訳は、どんなときに必要ですか?

A. 海外の銀行・取引先・当局などに提出するときに求められることが多いです。口座開設(KYC)、取引審査、海外子会社設立、ライセンス申請など、「会社の身元確認」を目的とする場面で必要になりやすいです。

Q. 登記簿の英訳で一番多い差し戻し原因は何ですか?

A. 表記の不統一(会社名・住所・役職・日付など)が最も多い原因になりがちです。翻訳自体が正しくても、他書類と表記が一致しないと、提出先が同一性を確認できず止まることがあります。

Q. 代表取締役は英語で何と訳すのが一般的ですか?

A. 一般には “Representative Director” がよく使われます。ただし提出先が “CEO” 等を求める場合もあるため、原則は登記上の役職として訳し、必要なら注記や提出先要件に合わせて調整します。

Q. 日本の住所は英訳でどう書けばいいですか?

A. 大切なのは“同一住所として一意に特定できる”表記で、サイト内で統一することです。丁目・番地・号、ビル名・階数、ハイフンの使い方などでブレやすいので、最初に表記ルールを決め、他書類(契約書・請求書等)とも整合させるのが安全です。

Q. 登記簿の下線(抹消事項)は英訳に入れるべきですか?

A. 原則は入れるのが安全です(特に履歴事項全部証明書を訳す場合)。抹消事項を省くと「原文の一部が欠けている」と見なされることがあります。現在情報と混ざらないよう、レイアウトや注記で区別します。

Q. 履歴事項と現在事項、英訳ではどちらが多いですか?

A. 提出先が指定していなければ、履歴事項を求められることが多い傾向です。ただし「現在のみ」で足りる提出先もあります。提出要件がある場合はそれが最優先です。

Q. 翻訳証明(Certificate of Translation)は必要ですか?

A. 提出先次第で、必要な場合と不要な場合があります。必要と言われたら「誰が証明する形式か(翻訳者個人/翻訳会社/公証まで必要か)」まで確認すると、過剰対応や不足を防げます。

Q. 納品形式はPDFとWord、どちらが良いですか?

A. 提出が主目的ならPDFが基本で、修正や指定がありそうならWordもあると安心です。提出先が形式を指定することもあるため、不明ならPDFを基本にしつつ、必要に応じてWordも用意できる体制が便利です。

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